政治・経済 週刊文春 掲載記事
THIS WEEK

財界人との会食が心の支え?
野田首相 国民に語る言葉ナシ

「政局ではなく大局」

 国会で「いじめられている」とこぼす野田佳彦首相。そんな総理の心の支えは、財界人との会食だという。

 たとえば二月五日、ホテルオークラの日本料理店「山里」で、民主党の藤井裕久税制調査会長らを交えて、ライフコーポレーションの清水信次会長と会 食したときのこと。スーパー業界を代表する清水氏は消費増税に反対の立場だが、会食後は「立派な総理だ。皆で守っていかなくては」と発言。支持率が低下す る一方の首相にとって、願ってもない後方支援になった。

 財界人とのディナーは、都内一流ホテルの店でというパターンが多い。一月半ばには、ホテルニューオータニガーデンコート内の「千羽鶴」で、中村邦夫パナソニック会長が音頭をとって御手洗冨士夫キヤノン会長、榊原定征東レ会長と一献、傾けた。「消費税問題で、自民党は与野党協議に乗るべきだ」と説く 財界人に、首相は「私もそう思っている。政局ではなく大局をみてほしい」と意を強くした。

 ほかにもザ・プリンスパークタワー東京の日本料理店で、御手洗氏、茂木友三郎キッコーマン名誉会長、坂根正弘コマツ会長、齋藤宏みずほコーポレー ト銀行前頭取と会食。ニューオータニの会員制「ガーデンコートクラブ」では、岡素之住友商事会長、張富士夫トヨタ自動車会長、鈴木正一郎王子製紙会長、池 田弘一アサヒグループホールディングス相談役らと会うなど、「首相動静」に財界VIPの名前が並ぶ。前二人の首相が財界人とあまり会わなかったのに比べる と、突出している。

「耳触りのいい意見が聞きたいのでしょう。経済界は、消費増税とTPP(環太平洋経済連携協定)という首相の掲げる二大課題を支持し、自民党も賛同すべきだと主張していますから」(経済官庁幹部)

 財界にしても、自民党大会で日本経団連の米倉弘昌会長が激しいヤジを浴びる始末。「何とか野田首相に頑張ってほしい」というのが、財界の総意なのだ。

 以前から交流があったわけでもなく、ほとんどが初対面にすぎないエスタブリッシュメントから送られるエールを頼りに、「自分は国のためを思うリーダーだ」と思い込みたい野田首相――。

 だが、まず語りかけるべきは国民に、ではないのか。

「これでは国会は動かないし、何も解決しない」

 と民主党幹部も苦りきるばかりだ。

「週刊文春」編集部

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2012年2月23日号
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