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一時は二百万部も売り上げたケータイ小説は今どうなった?

 ケータイ小説の売れ行きが急降下――といっても、お父さんは一度も読んだことがないかも知れない。

「ケータイ小説とは、携帯電話を使って執筆・閲覧する小説のこと。ケータイで読みやすいよう、一文が短い、改行が多い、セリフ主体などの特徴があり、主な読者層は女子中高生です」(携帯小説感想サイト「心音」管理人・ハラダさん)

 それを書籍化したものが売れに売れた。

「07年のベストセラーランキング(単行本・文芸部門・トーハン調べ)では、一〜三位を独占。年間ベストセラーとなった『恋空』(スターツ出版)は二百万部以上を売り上げ、映画化もされました。ただ08年、09年のランキングには一冊も入っていません」(書評ライター)

 ジュンク堂書店・文芸書担当者も言う。

「たしかに数年前までは飛ぶように売れました。しかし現在は、辛うじて文庫シリーズが売れる程度。高価な単行本はほとんど動きません」

 なぜ失速したのか?

「作者に新しい表現を開拓しようという野心がなかったからだと思います。『かつて俗悪とされたマンガやアニメが日本を代表する文化になったように、ケータイ小説もメジャーになる』と言う人もいますが、ケータイ小説には、手塚治虫や宮崎駿のような野心にあふれた天才が出なかった。ただケータイ小説を求める人はいるので、今後も細々と続いてはいくでしょうが」(文芸批評家・加藤弘一さん)

「大半の読者は、既にケータイで読み終わっており、その記念として書籍を買う。ただ記念品はいくつもいらないので、売れなくなったのでしょう」(前出・書評ライター)

 だが、ケータイ小説最大手のスターツ出版は10年度に七十二作品を刊行、アスキー・メディアワークスは大手ケータイ小説サイトの「魔法のiらんど」を吸収合併するなど、強気の攻めを続けている。

「書籍ではなくマルチメディア化での戦略を考えているんです。実は、情景描写が少なく箇条書き的なケータイ小説は、一般の小説より映像化しやすいし、映画やドラマ、ゲームにした方が利益は大きいんです」(同前)

 新しいビジネスモデルになるのだろうか。

岡崎 博之

この記事の掲載号

2011年4月7日号
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