クローズアップ 週刊文春 掲載記事

初の宮部みゆき作品で人の心と対峙する記者役に

仲間由紀恵 (女優)

なかまゆきえ/1979年生まれ、沖縄県出身。『TRICK』『ごくせん』『功名が辻』『美しい隣人』『サキ』『美女と男子』など主演作多数。また女優業の他に『ミュージックフェア』の司会、NHKスペシャル『プラネットアースII』のナレーションを担当する。今後は、『相棒―劇場版IV―』が2月11日公開予定。

『TRICK』の自称天才マジシャンから『花子とアン』の波瀾万丈な人生を送った歌人まで、視聴者の記憶に残る数々の名キャラクターを演じてきた仲間由紀恵さん。1月にWOWOWで放送開始する『連続ドラマW 楽園』では、さまざまな人の心の傷と向き合うルポライターに扮する。

 宮部みゆきさんのミリオンセラーを映像化した『楽園』は、『模倣犯』の9年後が舞台のミステリー。『模倣犯』の事件によるトラウマで犯罪モノから離れていたライターの前畑滋子は、1人の少年が持つ特殊な能力について調査を依頼される。少年が描いた絵が16年前にある一家に起きた悲劇に酷似していたことから、当初は無関係に見えた複数の家族の秘密が明らかになっていくストーリーだ。

「ミステリーとはいえ、事件がポンポン起きるのではなく、過去のある出来事に関連して一体何が起きたのか、これから何が起こるのかわからないという不安な状態がずっと続きます。そうかと思えば、突然、意外な展開があったりする。その話の流れがとてもスリリングだと思いました」

 ドラマの大部分を滋子が事件関係者などから話を聞き出す場面が占める。暗い秘密を抱えた人々に誠意を持って寄り添う滋子の表情が印象的だ。これらの場面では、これまで取材を受けてきた経験が少なからず役に立ったという。

「取材のシーンでは、『記者』対『取材対象者』ではなく、『人』対『人』として相手に接することを心がけました。そんな空気の中で、ぽろっとこぼれる素直な言葉を拾っていけたらいいなと。一方で、状況を客観視することも意識しました。記者の方たちって、相手に質問している時も頭のどこかでは客観的に違うことを考えているように見えます」

 また、自身も傷つきながらプロとして難題に取り組む滋子の姿勢にも共感したと語る。

「自分もトラウマと闘いながら、事件被害者や遺族のために一生懸命に動く姿が格好いいなと思いました。何かを抱えた人が前に進む時、すべてを振り切って進むことは難しい。重いものを引きずりながら、少しずつ進んでいくしかありません。事件の背景にはとても悲しい人間ドラマがあり、滋子は何度もどう調査を進めていけばいいのかわからなくなります。そういった曖昧な気持ちも素直に演じたいと思いました」

 この滋子の姿勢は、仲間さん本人の仕事に対する心構えにも通じるのだろうか。

「作品を楽しんでくださる方たちの存在は大きな励みですが、『誰かのためにやっている』とは、おこがましくて言えないです。現場が大変な時は、スタッフさんたちの頑張っている姿からモチベーションをもらうことが多いですね。『私は1人じゃない』と実感します」

WOWOWプライム『連続ドラマW 楽園』

(全6話。第1話無料放送)
2017年1月8日(日)夜10:00スタート
http://www.wowow.co.jp/dramaw/rakuen/

取材・文海田 恭子

この記事の掲載号

2017年1月5日・12日新年特大号
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2016年12月28日 発売 / 特別定価440円(税込)

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