クローズアップ 週刊文春 掲載記事
3.11スペシャル

『つなみ』の子どもたちが語る
あの日から5年、これからの5年

文藝春秋4月臨時増刊号『つなみ 5年後の子どもたちの作文集』

司会・構成森 健 (ジャーナリスト) プロフィール

もり けん/ジャーナリスト。1968年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。企画・取材・構成にあたった『つなみ 被災地のこども80人の作文集』、著書の『「つなみ」の子どもたち――作文に書かれなかった物語』で、被災地の子どもたちとともに第43回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。最新刊は『小倉昌男 祈りと経営』。

 東日本大震災の被災地の子どもたちが書いた『つなみ 被災地の子どもたちの作文集 完全版』は国内外で大きな反響を呼んだ。
 震災から5年。あの時の子どもたちが震災後の日々を綴った『つなみ 5年後の子どもたちの作文集』がこのたび刊行された。そこで作文を寄せた宮城県出身の3人に、あらためて5年間を振り返ってもらった。

三束香織(みつつか・かおり)
気仙沼市 中学校2年 → 仙台市 専門学校1年

行方意織(なめかた・いおり)
石巻市 小学校6年 → 石巻市 高校2年

橋浦優香(はしうら・ゆうか)
名取市 小学校6年 → 名取市 高校2年

文藝春秋4月臨時増刊号『つなみ 5年後の子どもたちの作文集』
企画・取材・構成 森 健
文藝春秋刊 本体815円+税

――みんなはどういう気持で作文を書いたの?

行方意織(石巻在住・高2) 前の作文を書いたのは震災2カ月後で、直後のことしか書いていません。でも、5年後のいま、「復興」もさほど進んでいないし、報道も減っているのを感じる。そういう現実を知ってほしいという思いがまずありました。僕は陸上部で、校外にランニングに行くんです。すると、沿岸部でも内陸部でも一歩脇道に入ると、放置されたままの土地が多く残されている。あれを見るととても復興とは言えないと。

三束香織(気仙沼出身・専門学校1年) 私は迷うところがありました。震災体験を忘れないで生きてきたつもりですが、文章に書こうとすると苦しい部分もあったからです。私は友人を亡くしているのですが、その子のことは思い出したくなくても思い出してしまう。でも、そのことはやはり文字にはできませんでした……。それだけ引きずっている部分なんだなと自分で思いました。

橋浦優香(名取在住・高2) 私も迷う部分がありました。でも、逆に文字に書くと自分の考えがわかるんじゃないかと思って参加したんです。というのは、私は震災のときずっと日記をつけていたんです。

行方・三束 すごい!

橋浦 ちょうど避難所に着いた次の日にノートをいただいて。食べたものや起きた出来事を書いていったんです。その後、4年間ぐらいまめに書いてきました。それを読むと、当時の思いが蘇りますね。毎日、小さな子と遊んでいたり、炊き出しがあったり。

――あそこの避難所は雰囲気がよかったですよね。

橋浦 はい。みんな閖上(ゆりあげ)地区の出身だったので、気心の知れた人が多かったのもありますね。ただその後すべてうまく行ったかというと、そうでもなくて。

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2016年3月17日号
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テレビの天敵 高市早苗総務相 嫌われる理由
2016年3月10日 発売 / 定価400円(税込)

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