著者は語る 週刊文春 掲載記事

京大院生が潜入調査

『キャバ嬢の社会学』 (北条かや 著)

「普通の女の子」が男性客としゃべるだけでお金がもらえるシステムは、社会学から見ると当たり前ではない。そこで、自らキャバ嬢となり参与観察を開始。キャバ嬢の接客戦略や「病み」……。現代社会のパロディーといえるキャバクラを通して、男女の問題をあぶり出す。 星海社新書 820円+税

「生まれ変わったら、キャバ嬢をやりたいですね」

 そう語るのは『キャバ嬢の社会学』の著者で著述家の北条かやさん。かつては「女らしさ」を売りにする女性を忌み嫌っていた。

「援助交際が社会問題になったのは小学3年生のとき。先生の話を真正面から受け止めていて、セックスは子どもをつくる行為という考え方に縛られていたので、快楽目的で楽しむのは悪だと考えていたのです」

 高校時代、まわりの女子は彼氏からブランド物をプレゼントされ、セックスを楽しんでいた。北条さんは彼女たちを見て、体と金を交換する援助交際とどこが違うのか、ひたすら考えていたという。

 そして、「カラダとカネの交換システム」の謎を解くため、社会学を専攻するガリ勉女子大生に。だが、先輩から「キャバ嬢を差別してるんじゃない? 自分もやってみればいいのに」と言われ、グサリと来た。

「女が顔や体を売りにすることについて学んでいたつもりなのに、私はそのような女性を差別していただけなのか……。そこで彼女たちと同じことをやってやると決意したんです」

 北条さんは、キャバクラを修士論文のテーマに選び、関西の店舗で働き始めた。

ほうじょうかや/1986年石川県金沢市生まれ。著述家。同志社大学社会学部を卒業し京都大学大学院文学研究科修士課程修了。ブログ「コスプレで女やってますけど」は月間10万PVを誇る(プロフィール写真は出版直前に歌舞伎町のスタジオで撮影したもの)。

「キャバ嬢たちは顔も体型もバラバラで、いわゆるブサイクやデブといわれる子もいて、盛り上げ役をしたり、お客さんから指名もされていました。『グラビアアイドルみたいに細くて胸が大きくなければ女じゃない』と思っていたんですが、それ以外の女性でも男に媚びていい、女を売りにしていいんだと驚いたんです」

 中には、こんなお客さんもいたとか。

「ピンサロ、デリヘルに寄ってからお店に来て、私を場内指名した方がいました。人工肛門を見せてくれて『大腸がんで余命が幾許(いくばく)もない。足を触らせてくれれば治る』と言われたんです。死の間際にキャバクラで生きる実感を得る男性がいて、彼が快楽を感じることで、自分はお金を稼いでいると思うと、目眩(めまい)がしました」

 キャバ嬢や男性スタッフにも取材し、彼女たちの接客戦略や営業マニュアルを明らかにした。

「客観的に見ようとしていたのに、いざ働くと、よし頑張るぞと思ってしまって、いかんいかんと頭を切り替えながらやっていました。身が磨り減るような感覚を覚えましたが、お客さんから指名されたり褒められたりすると嬉しかった。『女という商品』になることには依存性がありました」

「週刊文春」編集部

この記事の掲載号

2014年5月1日号
2014年5月1日号
韓国沈没船 300人を見殺しにした朴槿恵の大罪
2014年4月24日 発売 / 定価400円(税込)
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